介護職の育成とお互いの支え合う「きずな」を強め活力を呼び起こす
(1)介護職の特質
若年層の人口が減少し高齢層が増大する人口構成によって各職業に及ぼす影響は様々である。福祉関連の事業でも大きな変化が起こることは確実である。
そこで福祉関係特に介護職に的を絞って考察してみる。今後ますます増加する高齢者の介護に対して、専門の介護職を必要とする。 体験や経験に頼るばかりでなく、介護員の「人格」「人柄」そのものが「介護サ−ビス商品」となる。
では何故介護職に人格,人柄が強調されるのか。日本国内にはおよそ数千種類もの職業がある。 これらの職業の中でとりわけ品物を介さず人との接触と会話を重んじる職業といえば、教師、保育士、営業、弁護士等がある。 これらの中でもより一層やさしさ、愛情、人情、人柄を商品にする職業はなにか又それが無ければ誰も欲しがらない商品は,介護サ−ビス商品である。 例えば「あの先生はいい医者だ」 「今度のクラス担任は良い先生に当たった」「あの介護員なら毎日でも来て欲しい」等の言葉が世間に飛び交う。
各職業の市場には、それぞれ特徴を持ち合わせている。例えば格闘競技は、「殴る、蹴る」という商品を売って商売している。水泳選手は水着を着て無言で泳ぐことが商品価値だ。教師は教育を売ることで商品化する。医師は薬、注射の効用を考えて売り物にする。保育士は児童に教育,しつけを売り物にする。
各人商売するからには、それぞれの職業の個性や特徴を商品化して,お金をもらったり,払ったりする。売るものが無ければ誰がお金を払いますか。払いはしない。 私たちの介護の市場(会場)に入ったら介護の役割,特徴があるに決まっている。その役割、特徴に当然縛られた商品でなければ買う人はいない。
ではその役割,特徴とは何か.「人情」「愛情」「優しさ」である。介護職の人が客から、あなたは私に何を売ってくださるのですか。と尋ねられたら何と答えますか。 介護員は全く丸腰で対応している。一方教師、医師,保育士、等も似たような商品を売っている。しかしこれらの人は、指導する、教育する、薬 注射を武器にお客と対応出来る。 それに対して介護職は丸腰であり、しかも持ち合わせた商品は形が無い。つまり誰でも出来る職業であるかのごとく捉えられている。 武器も持たず丸腰の商品に何故価値が有ると買う側は考えるのだろうか。それは売る側に人情、愛情、やさしさ、傾聴を備えた人柄、人格そのものを商品とみているからである。 だからオムツ交換、食事介助、入浴等誰がやっても同じ事をするが、お客はその行為に満足しない。人情、愛情、やさしさ、傾聴を伴った人格、人柄を求める。
これからは、介護市場に数多くの店が出店され,商品もたくさん並ぶようになる。同時にお客も噂、情報を得るチャンスが広がる。何がバ−ゲン商品,何処にブランド商品があるか知る事が出来る。 当然ブランド商品目指して列をなすに決まっている。このブランド商品のような商品を世に出す役目が介護職である。ブランド商品とは、人情、愛情、やさしさ、傾聴の姿勢が組み込まれた人間そのものである。
H24.06.15
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