介護職の育成とお互いの支え合う「きずな」を強め活力を呼び起こす
(2)介護職に就労する人が減少してもこの職を選択したくなる人を育てる
人格、人柄が介護サ−ビス商品であるからには、それに相応した人格 が求められるかと言えば将来は希望をもてない。何故だろう。それは高齢者と言う特性を理解できる人が減少してくるからである。この高齢者の特性に共感し合えるにはどうすればよいのかだろう。 人間が誕生して教育をうけ社会人となり数十年過ぎる間に何の体験,経験も無い人が高齢者に接した時、その特性を認識し理解して共感することは難しい。共感する認識のないまま高齢者に接したとしても迷惑であり尊厳などみじんも感じられない。 介護の講習会に高齢者の体験と言う事で擬似高齢者になる為、重たい鎧を着衣したことがある。この行為はまさしく着せ替え人形にすぎない。 つまり書物で得た知識でスキ−、琴、ピアノを弾くと同様のものだ。誰もがにわかピアニストになれるもでない。 高齢者がふえるにつれ、ハ−ド面は机上論で製作可能だ。 しかし高齢者に対する考え方や接し方は即席では難しい。ではどうすればよいか。長期間かけて日常生活の中からそれぞれの特質を知ることだ。つまり幼児、児童、小学生、中学生、高校生、大学生、社会人になるまで共生空間にしっかり身を置きながら、いつも身近に高齢者がいて その特性を味わい体験していかなければ,尊敬し大切にし心から介護する意識は望めない。 増加する高齢者のために単に器を作りそこに閉じ込める。邪魔者を集めその箱の中で体験のないロボットに介護させる。 あまりにも高齢者が増えすぎて猫も杓子もコンクリ−ト箱を作るのに精を出す。このことの方が金さえ出せば作れるので即座に作りやすいのだ。
しかしなにか手間のかかる事を忘れている。それは人手だ。現在は何とか人手が充足している。1年も過ぎれば,人手不足で混乱する。この職種は待遇は良くない。その上重労働だからである。そうなれば,背に腹は替えられない。外国人労働者を組み込むか急造介護職を仕上げる。まさしく着せ替え人形の手法で手当する。 最悪な事に、高齢者が増えるに反比例して若年層が減少する。増加する高齢者を介助する人はますます減少していく。当然ながら介護の質は低下していく。この不幸な状況を改善していかなければならない。改善していく基礎を共生空間にて長い年月かけて実現していく。 少子化、低賃金で苛酷な労働と言う最悪な環境にもかかわらず、幼児から成人までに共生空間での体験が大人になった時、高齢者に目を向けようとする意識が芽生えていくことを期待する。 これこそが,体験した人が抱く宝物であって欲しい。介護職に就労する意識を築き上げていきたい。
形(建築物)あるものにしか価値を見い出ださない事から形無い物(無形性)、(同時性)、(異質性)の価値を重要視する姿勢
H24.07.17