静止体は形のあるもの、動体は形のないもの
(3)自分では行動を起こせない高齢者(静止体)
静止体になったら共用高齢者住宅、高齢者専用賃貸住宅に移り住み外部のサービスを利用する。
共用部分の利用価値は希薄である。共用部分は割り勘料金である。
静止体(施設、建物に包含された製品等)を動体(自立した人)が操作するからこそ機能を発揮する。この装置「静止体」を操作する人が静止体(高齢者)であればなんら効果は出ない。
施設は静止体でそこへ入居する人も静止体(動体)であれば、その静止体を支配する、指導するのは先生だ。この先生が介護員である。静止体が自ら行動に移せない。静止体が効果を出すのは動体が完全に静止体を支配できる能力があるときだ。
老人は静止体だ。従って静止体の持つ効力を発揮できないままになっている施設に入るにも見学に行くとき付いていくのは家族だ。又見学段階ではまだ動体である。
家族も動体だから建物の機能を操作できるからイメージがわき完全なものとして満足する。
しかし高齢者は設備を操作できない人。つまりパソコンを全く操作できない人と似ている。この施設は指導者無くしては完全に機能しないのだ。
私たちが2〜3日の旅行に行ったとしよう。豪華な建物に満足するだろう。なぜだろう。それはこの建物および装備、食事等を操作できる動体だからだ。
では同じ建物を利用する立場の二人が居るとしよう。一人は健康で楽しくホテルで過ごす。もう一人は風邪でのため38〜39度の熱でうなされベットで寝たまま。つまり静止体だ。翌日二人が会って昨夜の過ごし方をたずねると、一人は満足しきっている。一方は静止体のため建物の機能を操作出来ず一日を過ごした。まさしく高齢者が豪華な建物に入居したと全く同じだ。このとき風邪で寝込んだ人にとても優しい、気の利いた先生、指導員、介護員が付き添ったらどうだろう。きっと建物とは関係なく安定した一夜を過ごせただろう。
つまり静止体、操作できない人には装置、建物の豪華さは役に立たない。介助してくださる、指導してくださる先生、介護員こそが役に立つのだ。
H23.08.17